おしゃれコラム vol.392---イタリア人から見た日本人ファッション

ファッションコラムが更新されたのでご紹介します。
いつも、frontstyleさんに書かせて頂いているものです。

　先日、久しぶりに日本に一時帰国をしました。今回はイタリア人を一緒に連れての帰国だったのですが、日本を色々と案内する間、日本のファッションについて色々と面白いことを指摘してくれて大変興味深かったので、今回はそのお話です。

　日本の街の風景

　まず、日本に着いて開口一番、“なんで冬なのにみんなこんなに薄着なの！？”渋谷、原宿、表参道と移動中、街行く少女達が揃ってみんなミニスカート、もしくは素足に靴、中にはサンダル＋タイツの組み合わせも見かけ、びっくりしていました。ちょうど今シーズンはダウンコートが流行っていて、トップは暖かそうなのですが、ミニ丈のダウン率が多く、なんだか足元はみんな寒そう。

　冬の寒さの厳しいヨーロッパでは、街歩きをする時にミニスカートの人はほとんど見かけません。いくら温暖化といっても、真冬に肌の露出をしている人はほぼ皆無、むしろ冬ならではの重ね着ファッションを楽しんで、マフラーやニット帽の小物を使って暖かく包んでいます。冬は完全防備が当たり前のヨーロッパ人からすると、ミニスカートだらけの街は異様に感じたよう。

　また、歩き方が内股で、靴をつっかけるようにして歩いている女の子がいるのを不思議がっていました。確かに、言われてみればヒールブーツなんかを履いている人で、ふらふらと足元が不安定なような引きずった感じの歩き方をしている人がチラホラ。ヨーロッパでは、女性でもきりっと、背筋を伸ばしてシャキシャキと歩いている人が多く、セクシーな仕草やスタイルフェミニンを表します。“それは日本ではか弱い感じに映って、日本のフェミニンでもあるんだよ。”と説明しましたが、なるほど、メンタリティによって歩き方まで変わるんだなあ、と気づかされました。

　お好みのジャパニーズ・ブランド

　まず、イタリア人が一番先に目を付けたのは、“MUJI”こと無印良品。最近、ミラノに無印良品の１号店がオープンし、イタリアでも少しずつ知名度をあげていますが、店舗は小さく、値段も日本の３倍くらいして、まだあまり浸透していません。日本の広い店舗の無印良品に連れて行ったところ、ステーショナリーや日用品以外にも、家具や洋服まで揃っていて感激していました。
　特に、アルミ系のステーショナリー・グッズと、ハンチング帽、キャスケットがお気に入りの様子。

　また、昨年11月に表参道にオープンしたサマンサ・ベガのメンズ・ブランド、“SAMANTHA KINGZ”（サマンサキングズ）もお気に召した様子。店内は話題のスカルアイテムが揃っていて、テイストはきれいめだったり、ゴツめのデザインなのに、どこかキッチュな要素が含まれていて、その裏切り方がイタリアブランドには出せない面白さだそう。

　最近は、ワイズ（Y's）で知られるヨウジヤマモト（Yohji Yamamoto）などの活躍がありますが、まだまだ海外に進出している日本ブランドは少ないのが現状。世界中のブランドが集まるようになった日本、次は発信する側になるべく、日本ブランドの海外進出にも期待したいですね。

　ファッションを動かす日本のメディア

　日本のファッションの中で、最も印象的だったのは、たくさんの人が“同じモノを持っている”ことだそうです。例えば電車に乗ると、１つの車両の中にルイ・ヴィトンのバックを持っている人が何人もいたり、皆が“同じブランド”の“同じモデル”のものが欲しいために売り切れという現象が起きたり。メディアやファッション雑誌で取り上げられると、皆がそれを買う。流行っているから欲しい、ブランドのものだから欲しい、みんなが持っているから欲しい、という理由で買う場合が多く、本当に自分が欲しいものは何なんだろう？例えばそのアイテムからそのブランドのタグを外しても、それでもそれが本当に欲しいと思う人がどれだけいるのだろうか。ショッピングをする時も自分本位ではなく、常に“買わせるための広告”にコントロールされて選んでしまっているように見えると感じたそうです。

　周りの人と同じものを持つ、ブランドものを持つ、というのはある意味、安心感でもありますが、自分が本当に良いと思って選んで身につける楽しみもファッションの醍醐味。自分なりのこだわりを見つけると、おしゃれが一層楽しくなりそうですね。

　遅くまで開いているお店があったり、イタリアには少ないファッションビル、品揃えが多くバラエティー豊かなショップなどを巡り、ショッピング大国を十分満喫して大満足で帰っていった今回のイタリア人。お土産にはやっぱりお決まりの漢字Ｔシャツを購入していました。

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